手術なしで注射により痔(じ)を治療する新薬「ジオン」

日本人の3人に1人は”痔”持ちといわれますが、うち過半数を占めるのが痔核(いぼ痔)です。ひどくなると痔核が肛門から飛び出す脱肛となり、手術治療が必要になります。
 ところが「ジオン」と呼ばれる新薬(注射)を使うと「手術なしで完治する」といいます。
この画期的な注射治療法をご紹介します。

■注射治療薬「ジオン」
 ジオンは、中国で開発され1979年に中国政府から認可を受けた「消痔霊」(硫酸アルミニウムカリウム)という薬を改良したものです。ジオンは注射で痔核を硬化・縮小させる治療薬で、日本でもやっと効果の期待できる注射薬が医薬品として認可されました。日本での開発は沖縄のバイオベンチャー、レキオファーマ(奥キヌ子社長)が中国で消痔霊の存在を知り、製薬大手の三菱ウェルファーマと共同で開発を開始し、15年の年月をかけて臨床試験を終え、やっと製造承認されました。
■1〜2日の入院

いぼ痔の本体は、肛門の内側にある粘膜下の血管部分がうっ血して大きく膨らみコブ状になったものです。新薬を使った治療は麻酔をした後、患部に4カ所注射するだけで、大きく脱肛した痔核がみるみる退縮します。この薬は、炎症を起こすことで組織を繊維化させます。したがって、痔核本体に注入すると痔核が潰れて硬化・萎縮するのです。従来の手術であれば、PPHで3〜4日、通常手術で1〜2週間ほどの入院が必要ですが、この注射療法なら1〜2日で退院できます。この方法が普及・定着すれば、日帰り入院も予想され、金銭的な負担もかなり少なくなります。

■どのような痔核に適応か

 痔は痔核(いぼじ)、痔ろう(あなじ)、裂肛(きれじ)の3つに大別されます。
さらに、痔核は直腸の粘膜下にできる内痔核と肛門の外側にできる「外痔核」があります。
ジオンの主な対象となる内痔核の進行度は次の4段階で表現されるうち、V度、W度の脱出を伴う内痔核になります。
【T度】痔核の脱出はなく、痛みもないが排便時に出血する。

【U度】排便時に脱出するが、自然に戻る。出血・痛みも出てくる。

【V度】脱出して、指で押し込まないと戻らない。

【W度】指で押し込んでも戻らず、常に脱出している。硬くなって痛みも出血もなくなる

■治療は専門医

「ジオン」は注射を四段階注射法という特別な方法で慎重に行わないと、効果も期待できませんし、注射による後遺症が起こる危険性さえあります。また適応できる症状もかぎられるので、すぐにすべての肛門科で受けることができるとはいかないでしょう。知識・トレーニングが必要となるので、(四段階注射法)講習会を受け、認められた医師のみが行うことになっています。

当院では、この方法を積極的に取り入れていますが、患者様の症状や対話からもっとも良い痔の治療方法を提供していきたいと考えています。
しかしまだ、臨床段階に際し、詳細事項が決定されていない部分もあり、今後どのような動向になるか不明な点が多いこと、また適応(すべての痔に適応があるわけではない)もこれから論議される状態であることをご理解いただきたいと思います。

詳しいことを知りたい方はご連絡をください。