下痢(便通異常)【げり(べんつういじょう)】

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下痢(便通異常)【げり(べんつういじょう)】 2019-12-16T15:02:45+00:00

下痢(便通異常)とは?

下痢(げり)は「健康時の便と比較して、便の水分量が多すぎる状態」です。食べ物の消化と吸収は小腸で行われ、水分は大腸で吸収されるが、その過程で異常が起きたときに下痢が起こります。更に重症な場合は、逆に腸壁から腸管内に水分が排出されます。また、下痢をすると、からだに力が入らず頭もぼんやりしますし、トイレの不安で外出もできず生活の質が低下します。

下痢の種類

① 腸からの水分吸収が妨げられる「浸透圧性下痢」
食べた物の浸透圧が高いと水分が吸収されないまま排便されるため下痢になります。牛乳を飲むと下痢をする体質(乳糖不耐症)、食べ過ぎによる消化不良やアルコール飲料の刺激で翌日に起こる下痢があてはまります。

② 腸からの水分分泌量が増える「分泌性下痢」
口から腸に入った細菌による毒素やホルモンの影響で、腸液の分泌が多くなり下痢となります。細菌やウイルスや寄生虫の種類によっては、血便、吐気、発熱、腹痛を伴うこともあります。赤痢やコレラと言った伝染病や病原性原虫や寄生虫でも発生し、重症になることもあります。特に海外旅行先で食事内容の急変によるおなかの負担に加え、衛生環境が良くない地域では細菌、寄生虫などに感染しやすくなること(輸入感染症)や見知らぬ土地での不安が原因となります。

③ 腸の通過時間が短くなる「蠕動運動性下痢」
蠕動運動が活発化しすぎると、食べた物が口から短時間で腸を移動してしまい、水分の吸収が不十分になって下痢になります。検査で異常がみつからないにもかかわらず慢性の下痢と便秘を繰り返し、通勤通学時や人前で緊張した時に突然腹痛がしてトイレへ行きたくなる、過敏性腸症候群やバセドウ病(甲状腺の病気)が代表されます。

④ 腸の炎症により滲出液が増える「滲出性下痢」
クローン病や潰瘍性大腸炎など腸に炎症があると、血液成分や細胞液が出て下痢になります。また腸の炎症のため水分吸収が低下することも下痢を助長します。

⑤ 薬の副作用による下痢
抗生剤の乱用や抗がん剤などの副作用で下痢になることもあります。

また、下痢は急性のものと慢性のものに大まかに分けられますが、この両者は原因も対処方法もまったく異なります。
発症から二週間以内のものを急性として扱い、大腸菌、赤痢菌、腸炎ビブリオ性食中毒、ウイルスなどによっておこる急性の大腸の炎症(感染性下痢)があります。そのほとんどの場合が、食べ過ぎや水・アルコール の飲み過ぎ、寝冷などによる消化不良性(非感染性下痢)が原因となっておこるウイルス性のものである可能性が高く自然に治癒します。

発症から四週間以上たったものを慢性の下痢として扱います。慢性下痢は消化吸収障害、腸の慢性炎症、大腸粘膜の過敏、アレルギー性下痢などたくさんの原因があり、これらの原因が重なりあって起こることが多いようです。急な下痢はたいてい数日で治ることが多いですが、中には治療が必要な下痢も有りますので食中毒などの感染症に伴う下痢は、病原体を速やかに排出する防衛作用であり、むやみな下痢止め処置や抗菌剤はかえって病状の悪化を招くこともあります。「いつもの下痢」でも以下の症状が続く場合や症状が急変した場合はすぐに医師に相談し、大腸の検査を受けた方がよいでしょう。

  1. 激しい下痢や脱水症状
  2. 下痢に血がまざっている
  3. 同じ物を食べた人も同時に下痢になった

治療法

下痢は、その症状がどのような原因で起こっているかを見極めることがとても重要です。神経性の下痢などの場合には、腸の異常な蠕動運動を正常にすればよいのですが、ウイルスや食中毒などの細菌などによるものだと、下痢によって菌を排出しているので無理に薬などで止めてしまうと熱が出たり病気がひどくなったりしてしまいます。

治療の基本は、無理に下痢をとめずに脱水症状にならないよう、温かい飲み物を少しずつ補給し、消化の良い物を食べることです。
下痢が続くときや、発熱または腹痛があるとき、便に血が混じるとき、便秘と下痢を繰り返す場合は、受診してください。

水分補給によい飲み物

まず、体重の1%の水分を失うとノドが渇きはじめ、さらに体重の3~5%ほどの水分を失うと頭痛やめまいなどの症状が出始めます。それ以上の水分を失うと死にいたることもあります。
下痢の時には、体内の水分と電解質が失われ、脱水症状になりますので、その補給が必要です。刺激物を避けて温かいものが基本です。(例:味噌汁、にんじんスープ、りんごジュース、ハーブティ、番茶、ほうじ茶)。番茶やほうじ茶は比較的カフェインが少なく、りんごには整腸作用があります。

下痢の症状が軽く、水分の排泄も急激でない場合は、とりあえず水分であれば、水でもスープでも自分の好きなものを飲んでかまいませんが、下痢や嘔吐、発熱などによって急激に水分が失われている状態では飲み物に気をつける必要があります。それは、飲み物によって水分や塩分の体内への吸収率が異なるためです。

身近なところではスポーツドリンクが適しています。スポーツドリンクには、アイソトニック飲料と、ハイポトニック飲料という種類があり、浸透圧の関係でハイポトニック飲料の方が胃腸への吸収率が優れています。
製品によって配合されているアミノ酸などは違いますが、吸収率の違いは糖質の比率なのでアイソトニック飲料でも水で2倍程度に薄めればハイポトニック飲料と同じような吸収率を得ることができます。

下痢のときに良い食べ物

刺激物や脂質が少ない、おかゆ、よく煮込んだうどん、豆腐、半熟卵、白身魚、鶏ささみなどの消化がよい食べ物を食べると良いでしょう。また、たんぱく質は腸で吸収される際、便を固くする作用があります。

下痢のときに避けたい食品

下痢のときには、消化の良くない食べ物や腸を刺激する食べ物など、下痢を悪化させてしまう物も多く存在します。海藻類、キノコ類、豆類、ココア、ごぼう、オクラなど不溶性の食物繊維、コーヒーやカレーなど刺激のある飲食物、豆類、かぼちゃ、栗、炭酸飲料などの腸内で発酵しやすい物、冷たいもの、レモン、みかん、グレープフルーツなどクエン酸を含む柑橘系の果物、脂肪の多い肉類は腸に負担がかかるため避けたほうがよいでしょう。

下痢がおさまった後も消化の良い重湯やおかゆなどの流動食から始めるようにし、数日間は腸内細菌が整っていませんので油の多いもの、香辛料の強いもの、アルコールは避けるようにしましょう。

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子供の下痢がうつったようですが、受診したほうがいいですか?


はい、症状が重くなる前に早めに医療機関を受診してください。

子供が下痢や腹痛を訴えた時、寝冷えや風邪のためと考える人も少なくないと思いますが、まずは、「たかが下痢」と甘く見ないことが大切です。
また、「下痢はうつる」という認識を持ち、細菌やウイルスに感染した胃腸炎を疑いましょう。なぜならば、風邪を引き起こすウイルスは、主に喉や鼻、気管支など呼吸器系の影響にとどまるからです。

有名なウイルス性胃腸炎には、ロタウイルス、ノロウイルス感染症などがあり、いずれも流行性嘔吐下痢症の症状を呈するウイルスによる腸管感染症です。糞口(経口)感染、接触感染、飛沫感染します。

ノロウイルスは、氷、サラダ、パン、カキなどの二枚貝などの食品を介しての感染や集団食中毒を頻発させます。また、ノロウイルスは、便だけでなく吐物中にもたくさん含まれます。乾燥してエアロゾル化(細かい霧状になること)した吐物から空気感染も発生してしまうことがあります。
ノロウイルスは秋季から春季にかけて、ノロウイルスは冬季から春先に多く発生し、保育園などの閉鎖空間で流行することも特徴となります。


下痢のあとに水分を摂ると、また下痢になってしまいます。
もう、水分は摂らないほうがいいですか?


いいえ、水分はしっかり補給してください。

下痢や嘔吐による脱水症状を防ぐためには、水分補給が重要です。
真水よりも体内に吸収されやすい電解質を含むスポーツ飲料などを薄めて、少しづつこまめに補給するよう心がけましょう。
下痢は、病原体や毒素を体外に排出する反応ですので、下痢止めは控かえてください。また、1日10回以上の下痢や嘔吐、38度以上の高熱、激しい腹痛のいずれかの症状があれば、速やかに医療機関を受診してください。
中でも血便は、腸管出血性大腸菌の疑いもあり、重症化すると脳症や腎不全などにつながる恐れもあります。

さらに、大切なのは二次感染の予防です。
こじらせたりすることがなければ、多くは数日から1週間程度で症状が治まりますが、胃腸炎を引き起こす病原体は、その後もしばらくは大便から排出され続けていきます。

感染予防のカギを握るのは、何と言っても「しっかりとした手洗い」です。
手洗いの後のタオルの共有も避けたほうが良いでしょう。


市販の下痢止めは飲まないほうがいいですか?


下痢を引き起こす感染性腸炎は、一般的には自然治癒傾向が強いため、治療の原則は対症療法であり、抗菌薬は必要ない場合が多いです。
下痢に伴う脱水には点滴による輸液を行いますが、下痢止めや鎮痙薬は、腸管内容物の停滞時間を延長し、毒素の吸収を助長する可能性があり、原則的には使用しません。
整腸剤や乳酸菌製剤は、腸内細菌叢を回復させるために投与します。

抗菌剤は、赤痢、コレラ、チフス・パラチフスなどの3類感染症では、必ず投与します。
ビブリオ腸炎、ブドウ球菌腸炎、エロモナス腸炎などでは、原則抗菌剤は不必要です。
カンピロバクタ―腸炎、サルモネラ腸炎、腸管出血性大腸菌腸炎などでは、患者様の状態で抗菌薬を投与するかどうかを決定します。
抗菌薬の適応は、症状が重症(38℃以上の発熱、10回以上の下痢、血便などで判断)あるいは、菌血症が疑われるもの、1歳未満、高齢者、免疫不全患者、人工弁置換、人工関節、人工血管を入れている患者様などです。


感染の予防法を教えてください。


まずは、何と言っても「しっかりとした手洗い」です。
ウイルスを含んだ(付着した)水や食物をはじめ、手を介したり、排泄物から飛び散って感染したりするので、感染者と接触した場合は、手洗いを励行します。

ノロウイルスは、速乾性すり込み式手指消毒剤やアルコール消毒は無効なため、流水下で石鹸で手洗いし、食器などは、熱湯(1分以上)や0.05~0.1%の次亜塩素酸ナトリウムを用いて洗浄します。
食品中のノロウイルスを無害化するには85℃、1分以上の加熱が有効です。
ロタウイルスも基本的には塩素系消毒剤の使用が望ましいのですが、アルコール消毒も一定の感染予防効果を期待できます。