十二指腸潰瘍とは?

十二指腸は上腹部の胃と小腸の間にあり、指を12本並べたくらいの長さであることからこのように呼称されます。十二指腸潰瘍とは、強い胃酸が十二指腸粘膜を傷つけ、深い傷となっている病気の状態です。

主な原因は?

主な原因として、ピロリ菌の感染、非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)の副作用、ストレス、飲酒・喫煙などが挙げられます。

症状

胃潰瘍の痛みが食後3~4時間で起こるのに対し、十二指腸潰瘍の痛みは空腹時に起こるのが特徴です。毎日のように襲ってくる疼くような痛みが特徴的です。上腹部(みぞおち部位)の疼くような痛みや出血、潰瘍が深い場合には、十二指腸に穴があく穿孔(せんこう)などがあり、腹膜炎を起こしてしまう場合もあります。

検査法・診断法

吐血や下血があれば、胃カメラを用いた内視鏡検査が必要となります。出血量が、多量の場合は輸血を行うこともあります。
激烈な痛みを伴い、十二指腸に穴が開いた場合は、食物が腹腔内に漏れることがります。この場合は、緊急手術が必要となります。

治療法

治療は、潰瘍治療薬(PPI製剤)による内服治療が主流です。
十二指腸潰瘍は治癒しても再発することが多いので、継続的な観察が必要です。

よくいただくご質問

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鎮痛剤の飲み過ぎで、十二指腸潰瘍になりますか?


鎮痛剤の飲み過ぎは、十二指腸潰瘍の原因の一つとされています。一部の鎮痛剤(特に非ステロイド性抗炎症薬:NSAIDs)は、長期間、過剰な量の鎮痛剤を摂取することで、胃や十二指腸の粘膜に直接影響を与え、潰瘍を引き起こす可能性があります。

ただし、鎮痛剤の使用が十二指腸潰瘍のすべての原因となるわけではありませんので、その他の要因も考慮する必要があります。


ピロリ菌を除菌した後でも、十二指腸潰瘍になることはありますか?


ピロリ菌が原因で発生する十二指腸潰瘍の大部分は、ピロリ菌の除菌で治癒することができますが、ピロリ菌の再感染や胃酸分泌過多、NSAIDs(非ステロイド性抗炎症薬)の長期的な使用などの原因によって、再び十二指腸潰瘍が発生することがあります。

その他にも、過剰なストレス、アルコールやタバコの摂取、食生活の乱れなどが原因になることがあります。
ピロリ菌の除菌後も十二指腸潰瘍の再発リスクを減らすためには、健康的な生活習慣の維持や、NSAIDsの適正な使用、定期的な検査などが重要でしょう。


痛みがないのに、十二指腸潰瘍になっていることはありますか?


はい、痛みがない場合でも、十二指腸潰瘍になっていることはあります。
十二指腸潰瘍の症状は人によって異なり、一部の人は痛みを感じずに他の症状が現れることがあります。

他の症状には、消化不良、吐き気、食欲不振、腹部膨満感、嘔吐、便秘や下痢などがあります。そのため、消化器系の問題を抱えている場合は、痛みだけでなく、その他の症状にも注意を払う必要があります。必要に応じて、専門医に相談して治療することが重要です。


十二指腸潰瘍を放置すると、どうなりますか?


十二指腸潰瘍を放置すると、合併症や悪化のリスクが高まります。具体的には、以下のような症状や合併症を引き起こす可能性があります。

出血
潰瘍が深くなると、十二指腸の血管が傷ついて出血することがあります。出血量が多い場合には、貧血や出血性ショックを引き起こすことがあります。
穿孔(せんこう)
潰瘍が深くなり、十二指腸の壁を貫通すると、穴があいてしまいます。この状態を穿孔といい、腹膜炎や敗血症を引き起こすことがあります。
狭窄(きょうさく)
潰瘍によって狭窄が生じ、食物が通りにくくなり、食欲不振や体重減少を引き起こすことがあります。
逆流性食道炎
十二指腸潰瘍が胃酸の過剰分泌を引き起こすことがあるため、逆流性食道炎を発症するリスクが高くなります。

以上のような合併症や症状が発生する可能性があるため、十二指腸潰瘍が疑われる場合には、早期に医師に相談し、適切な治療を行うことが必要です。


十二指腸潰瘍の前兆とは?


十二指腸潰瘍の前兆には、腹痛や不快感、胃酸逆流、吐き気、食欲不振、体重減少、便秘または下痢などが挙げられます。これらの症状が現れた場合は、早めに医師の診断を受けることをおすすめします。

また、ピロリ菌を除菌していない場合やNSAIDsの使用歴がある場合は、十二指腸潰瘍になる可能性があるため、定期的な健康診断を受けることが必要です。


現在、十二指腸潰瘍の治療中です。気をつけることはありますか?


十二指腸潰瘍の治療中に、気をつけることのポイントを挙げます。

医師の指示を守りましょう
医師から処方された薬を定期的に服用し、食事や生活習慣のアドバイスに従うことが大切です。薬を中断したり、自己判断で薬を変更しないように注意してください。
食事に気をつけましょう
胃酸の過剰分泌を抑えるために、酸性の食べ物や刺激物、脂っこい食べ物やアルコールなどを避け、消化しやすい食事を心がけましょう。また、食事の回数を増やすことで、胃や十二指腸に負担をかけないようにします。
ストレスを減らしましょう
ストレスが潰瘍の悪化を引き起こすことがあるため、ストレスを減らす工夫をすることが大切です。リラックスするための趣味やスポーツなどを取り入れることが効果的です。
禁煙しましょう
タバコには胃酸の分泌を促す成分が含まれており、潰瘍の悪化を招く可能性があるため、禁煙することが望ましいです。

以上のように、十二指腸潰瘍の治療中は、医師の指示に従い、食事や生活習慣に注意し、定期的に医師の診察を受けることが大切です。