胃潰瘍とは?

胃潰瘍とは、何らかの理由で胃の粘膜に傷がついた後、胃酸などの攻撃によって穴が開き、傷が粘膜の下にある粘膜下層や筋層などといった深部まで達し、胃の壁の内側にくぼみ状の病変を生じた状態をいいます。

主な原因は?

胃の中に住みつき持続的に胃の粘膜を障害するピロリ菌や、NSAIDと言われる鎮痛解熱薬などによるものがあります。
その他、ストレス、刺激物の過剰摂取や暴飲暴食、胃腸炎などに伴う細菌・ウイルス感染、過労などが挙げられます。

症状

腹部が中心の不快感・違和感などがあり、主に上腹部を中心とした腹痛、背部痛、吐き気、もたれ感、腹部膨満感などです。
潰瘍から出血をきたした場合は、吐血、黒色の便やタール便(コールタールのような真っ黒な便)が認められます。

検査法・診断法

直接潰瘍の病変を確認することが必要となります。
症状などから、胃潰瘍や上部消化管の疾患を疑うと、胃カメラやバリウムを飲む胃透視や血液検査などを行います。

治療法

症状が軽い場合
プロトンポンプ阻害剤(PPI)やH2ブロッカーといった胃酸を抑える薬の内服や注射に加えて、粘膜を保護する1~3種類の胃薬を数週間内服します。

腹痛や貧血などの症状が強い・潰瘍が大きい・出血を伴う場合
数日間絶食して点滴治療を行います。
症状や経過の観察が必要になるため、1~2週間程度の入院が必要です。
胃内視鏡検査で胃潰瘍の部位から出血が認められたり、出血後の露出した血管が認められた場合は、検査と同時に、出血部位をクリップと呼ばれる小さな金具で縛ったり、出血部の血管を焼きつぶすなどの止血処置を行います。
輸血や鉄剤など、貧血に対する治療が必要なこともあります。胃潰瘍になる原因の多くを占めるピロリ菌がいる場合は、除菌治療も並行して行います。

よくいただくご質問

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胃潰瘍を放置すると、どうなりますか?


胃潰瘍を放置して症状が悪化すると、潰瘍が血管を破って大出血を起こす場合があります。
胃の壁に穴があき、そこから消化物や消化液が胃の外に漏れ出し、急性腹膜炎を起こす可能性もあります。急性腹膜炎になると腹痛、腹部膨満感、発熱、頻脈、頻呼吸、嘔吐などが起こります。さらに症状が重くなると激しい腹痛に加え、腹部全体が板のように固くなりますので、早急な治療が必要になります。

検査を受けることが、早期発見、早期治療につながります。定期的な検診をご検討ください。

胃潰瘍の放置による三大合併症の可能性

◯出血
潰瘍が悪化すると出血し、貧血を起こします。

◯穿孔
胃の中に穴があき、急性腹膜炎を起こします。

◯がん(悪性腫瘍)
潰瘍付近に「がん」が隠れている可能性があります。


胃潰瘍の検査方法には、どんなものがありますか?


胃潰瘍の検査には、以下の方法を用います。

1.バリウムによるX線検査
造影剤(バリウム)と胃を膨らませる炭酸ガスを発生させる発泡剤を飲んで、胃を写し出す検査方法です。
医師、もしくは診療放射線技師が、X線モニターを見ながら詳しく検査します。必要に応じて後日、生検して診断を行います。

2.内視鏡検査
小型のカメラを装着した細い管(直径5mm~9mm程度)を口や鼻から挿入し、胃を直接観察します。粘膜の微細な変化も鮮明に見えることから、凹凸の少ない病変や出血なども確認することができます。


胃潰瘍は、どれくらいで治りますか?


胃潰瘍の場合、胃の傷痕が白くなることで「治った」と判断されます。
治療期間は、一般的に8週間程度です。傷痕が赤い場合は、再発のリスクがあるため治療を継続します。

人や症状によっては、6ヶ月~1年、あるいはそれ以上の期間、治療を続けなければならない場合もあります。


胃潰瘍の予防は、どうしたらいいですか?


1.ストレスのコントロール
ストレスをうまくコントロールして、不眠や悲観を避けるようにしましょう。

2.禁煙
たばこは胃粘膜に対して攻撃的に作用する因子の働きを強め、逆に、胃粘膜を保護する因子の働きを弱めてしまいます。

3.食事は適量をよく噛んで
よく噛んで食べることにより、消化が促進されます。早食いの方は、よく噛むように心掛けることが必要です。

4.定期的に検査を受ける
胃潰瘍は、症状が治まっても再発することが多く、潰瘍を繰り返すと胃がんのリスクが高くなりますので、定期的な検査を受けることが大切です。