慢性胃炎とは?

慢性胃炎は、胃粘膜の炎症が長期にわたって持続する、あるいはくり返し生じている状態のことをいいます。その結果、持続する、あるいはくり返す胃痛、胃部不快感の症状となって現われます。

主な原因は?

慢性胃炎は、胃粘膜が傷つき、それが日常的にくり返される状態です。はじめは、原因への食事の関与が着目されてきました。また、アルコール、コーヒーなどの嗜好品、唐辛子、ニンニクなどの香辛料は、胃粘膜を傷害することが明らかにされ、塩分もその一因子と考えられています。
具体的にどのような食生活が慢性胃炎に関係しているのかはまだ不明ですが、暴飲暴食、偏った食生活に問題があるようです。精神的・身体的なストレスなども胃粘膜を傷害する原因となりますが、慢性胃炎の原因ともなり得るのかについては、結論が出ていません。
最近は、新しく発見された細菌の一種であるヘリコバクター・ピロリの胃内感染が、持続する胃粘膜の炎症を引き起こす原因として、慢性胃炎でも注目されています。

症状

慢性胃炎の症状は様々で、くり返す、あるいは持続する上腹部不快感・重圧感、みぞおち付近の痛み、悪心・嘔吐、腹部膨満感、胃もたれ感、食欲不振、ときには吐血、下血が現われます。なかでも多い症状は、上腹部不快感、心窩部痛、腹部膨満感で、多くの場合、これらの症状が重複して現われます。

検査法・診断法

慢性胃炎は、症状と内視鏡検査によって診断されるのが一般的です。

治療法

症状のない慢性胃炎の治療
症状がないのに慢性胃炎と診断された場合は、治療することなく経過を観察します。

症状を有する慢性胃炎の治療

  1. 食事療法
    胃はすべての飲食物を最初に受け入れるところで、胃に炎症があると飲食物の内容によりそれが悪化することがあります。
    その代表はアルコール、コーヒーなどの嗜好品、唐辛子などの香辛料で、刺激の強い食品、温度差の大きい食品も含まれます。慢性胃炎で症状を伴う際はこれらの食品を避けましょう。
  2. 薬物療法
    症状の強い場合は、薬物療法で症状の改善をはかります。胃酸分泌を抑えるH2受容体拮抗薬、胃粘膜層の強化をはかる胃粘膜防御因子増強薬、胃粘膜保護剤が有効です。また、慢性胃炎が悪化する際には、精神的・身体的ストレスが引き金になることがあり、その場合はストレスの除去とともに精神安定剤も使われます。腹部膨満感、もたれ感などは、慢性胃炎による胃運動の障害が原因となって起こる症状ですが、胃の働きを改善する運動機能調整薬も効果があります。症状、状態、強弱によって、これらの薬を組み合わせて治療を行います。

よくいただくご質問

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慢性胃炎を放置したらどうなりますか?


慢性胃炎を放置して進行させてしまうと、胃壁が炎症を起こし、潰瘍や出血などの合併症を引き起こす可能性があります。慢性胃炎は、胃がんのリスクを高める要因の一つとされ、長期間にわたって慢性胃炎が続くと、胃の粘膜が変性し、胃がんに進展してしまうことがあります。

また、慢性的な胃痛や不快感が続くと、心身にストレスがかかり、ストレスによる症状が出現する可能性もあります。

すでに慢性胃炎の症状がある場合は、「たかが胃痛」と軽視せずに早めに受診して、適切な治療を受けましょう。


胃カメラで何も見つからなかったのですが、ずっと胃痛・胃もたれがあります。何でしょうか?


胃内視鏡検査(胃カメラ)で異常が見つからない場合、胃痛や胃もたれの原因として「機能性ディスペプシア」が疑われることがあります。
機能性ディスペプシアとは、胃の運動や消化機能に問題がなく、胃の内視鏡検査や血液検査、レントゲン検査などの検査でも異常が認められない状態で、長期間にわたって胃痛や胃もたれなどの消化器症状が持続する状態を指します。

機能性ディスペプシア以外の疾患が隠れている可能性もありますので、症状が継続する場合は、受診して検査を受けてください。


ビールを飲むと胃炎の症状が出るのはなぜですか?


ビールを飲むと胃炎の症状が出る原因はいくつか考えられますが、まずビールに含まれるアルコールが胃粘膜を刺激することが挙げられます。アルコールが胃壁に作用することで、胃酸の分泌が増加し、胃粘膜に炎症を引き起こしている可能性があります。

また、ビールに含まれる炭酸ガスも胃の粘膜を刺激することがあります。これは、炭酸ガスが胃の中で膨張することで胃圧が上昇し、胃酸の逆流を引き起こす可能性があるためです。さらに、ビールに含まれる成分には、胃の粘膜を刺激するものがあり、例えば、ホップは、胃酸の分泌を促進することが知られています。

個人差もありますので、必ずしも全ての人が同じように影響を受けるわけではありませんが、症状が続くようでしたら受診されることをおすすめします。


慢性胃炎の予防方法はありますか?


慢性胃炎を予防するためには、以下のような方法があります。

ヘリコバクター・ピロリ菌の除菌
慢性胃炎の多くはピロリ菌の持続感染が原因で、胃の粘膜に炎症を起こします。
食生活の改善
食生活を改善し、バランスの良い食事を心がけることが重要です。食べ過ぎや空腹になりすぎることを避け、消化の良い食品を選びましょう。
ストレスの軽減
適度な運動やリラックスする時間を作って、ストレスを軽減させることが必要です。
飲酒・喫煙の制限
アルコールやタバコは胃に悪影響を与えるため、ほどほどに。

胃痛や胃の不快感などの症状が続く場合には、早めに医師の診察を受けてください。


慢性胃炎の食事療法について教えてください。


慢性胃炎の食事療法は、症状の軽減や回復に大きな役割を果たします。以下の点を心がけましょう。

食事回数を増やす
1日3食から、1日5~6回の少量食に変えることが望ましく、胃に負担をかけないように、1回あたりの量を減らします。
脂質や刺激物質を控える
脂質が多い食品や刺激の強い調味料、アルコール、コーヒーや炭酸飲料などの刺激性のある飲み物を控えましょう。
消化の良い食品を摂る
消化の良い食品(白身魚、鶏肉、豆腐、野菜など)を摂ることで、胃の負担を軽減します。
ゆっくり食べる
よく噛んで、時間をかけて食べましょう。


慢性胃炎と急性胃炎の違いは何ですか?


急性胃炎は、一般的には、食べすぎ飲みすぎ、アルコール摂取、過度のストレスなどが原因で発症します。突発的に発生する胃の炎症で、通常は数日で自然治癒することが多いとされています。

一方、慢性胃炎は、主にヘリコバクターピロリ菌の感染によって長期間にわたり炎症が続く状態で、症状が持続します。また、慢性胃炎は、自然治癒することはあまりなく、治療を受けない場合、症状が悪化する可能性があるため、早期に治療を受けることが必要となります。